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家屋の改造費②

交通事故により重度の後遺障害が残存した場合、被害者に日常生活上生ずる困難をできる限り少なくし、また介護をするご家族の負担をできるだけ少なくするために、元々居住していた自宅を障害者向け住宅のような構造に家屋を改築したり、移動に便利なようにバリアフリーにしたり、家族が介護をしやすくするため介護用リフトを設置する場合があります。

このような場合に、住宅の改造費の請求は認められるのでしょうか。

今回は、被害者が従前より居住していた家屋を、障害者向けに改造する(リフォームする)場合の改造費についてお話したいと思います。

家屋の改造費について、裁判例においては、現実に改造するために必要な金額をもって損害額とされますが、改造の必要性や支出額の相当性(不当に高級仕様となっていないか等)について吟味されることになります。

また、被害者以外の家族が改造により便益を享受すると認められる場合は、損益相殺的な処理がなされ、現実に支出された費用額の一部に限定して賠償が認められる例もあります。

例えば、さいたま地判平成25年4月16日判決は、34歳男性の後遺障害(左下腿部欠損、5級5号等)について、事故後に購入したマンションについてバリアフリー化工事をする必要性は認められますが、工事全般が必要なものではなく、利便性が向上することに鑑み、工事費用(約350万円)の約7割である約250万円が認めています。

また、大阪地判平成25年9月26日判決は、61歳主婦(高次脳機能障害、四肢機能障害等、併合4級)の事案につき、居住スペースである2階で生活するためには改造の必要が認められるものの、住居は築25年程たっており、改造におより利便性が大きく向上すること、床暖房については疑問がある等を理由として、改造費の5割を損害として認めています。

以上のように、改造費の全額の請求が認められるわけではなく、改造により利益がもたらされた場合は損益相殺的な処理がなされる場合があり、注意が必要です。

ただ、改造費用は高額になることが多いです。裁判においても被告側から減額を求め激しい攻防が繰り広げられることが多いことから、改造の必要性や支出額の相当性を立証する証拠を積極的に提出するなどして主張・立証を行う必要があると考えられます。

この記事を書いた人

弁護士法人TRUTH&TRUST

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