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遷延性意識障害①

遷延(せんえん)性意識障害とは、主に交通事故などを原因とする頭部外傷等によって昏睡状態に陥り、開眼できるようになったものの、意思疎通が完全に喪失した身体状態となってしまった場合の後遺障害をいいます。

交通事故により遷延性意識障害の後遺障害が発生してしまった被害者については、介護を行う近親者の負担が極めて重くなることが多く、介護費等について手厚い補償がなされるべきであり、そのために我々も努力を行っています。

遷延性意識障害の後遺障害が発生した事案について、近時の裁判例(東京地判平成28年9月6日判決)をご紹介します。

この裁判例は、35歳女子家業手伝いの被害者のかたが片側2車線道路を横断歩行中、自動車に衝突された事故についての事案(遷延性意識障害、四肢不完全麻痺)について、自賠責1級1号が認定された事例です。

この判決は、被害者には、遷延性意識障害、四肢完全麻痺、気管切開、経管栄養、尿弁失禁、言語障害、言語障害があり、日常生活動作は全介助を必要とする状態であること、自宅介護は職業介護人とともに母親が主に行っているが、父親及び弟も行うことがあること、介護内容は、体位変換、バイタルチェック、経管栄養、着替え、排便処理、清拭、経口訓練、自宅座位、リハビリ、マッサージ等であり、夜間に2時間毎に体位変換、バイタルチェック、おむつ交換を行っていること、介護体制は、午前中に1~2時間、午後に4時間、夜間に週3日の割合で訪問ヘルバーないし訪問介護をうけており、他に週2回の訪問入浴がある、などと介護状況について詳細に論じています。

そして被害者に対する介護は、主に母親が自宅で職業介護人の助力を得ながら行っているところ、口頭弁論終結日までの介護費は、母親の介護費相当額及び職業介護にかかる実費負担分を考慮して、中間利息控除分も踏まえ、日額10,000円認められました。

そして、職業介護人による将来介護費については、母親がすでに67歳を超えており、職業介護人による介護の必要性がますます高まってくこと、職業介護及び訪問入浴にかかる費用は、現在日額2万5000円から2万7000円程度を要していることを勘案すると、口頭弁論終結日以降の介護費は、日額2万円を下まわらないと認められる、などと判断され、日額2万円が認められました。

本判決は、介護を行っている母親が就労可能年齢である67歳を既に超えており、今後ますます職業介護人の必要性が高まるとして、高額の将来介護費を認められた点が評価されます。

今後も、このような最新判例についてご紹介をしていきたいと思います。

この記事を書いた人

弁護士法人TRUTH&TRUST

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